2024.07.01
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2021.01.04
父親たちは幼い頃から「いずれは一家の大黒柱となる。弱音を吐かず結果を出せ」とプレッシャーをかけられてきたケースが多い。「ジェンダーに囚われず、1人ひとりを認めよう」と言われても、今まで生きてきたことを否定されるような感覚に陥ることがある。
トランスジェンダーの鶴岡そらやすさんは塾を経営しながら、多様性理解や個の尊重、家族のあり方などについて講演活動を行う。「男らしさという言葉で象徴される積極性や自立性などは女の子にも必要。ジェンダーと結びつけない言葉で表現できるはずです」という。確かに、女らしさに象徴される思いやりや優しさだって男性にもあってほしい。
しかし、男らしさや女らしさの固定観念を外すのはかなり難しい。「ダイバーシティ&インクルージョンで大切なのは意識すること。LGBTsも知識を得て終わりでなく、それを自分ごととして捉え、自分にも固定観念がある!と気づくと、言葉がけも意識的になります」
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鶴岡さんが作った絵本は、親子で、学校で、子供と話し合えるヒントがいっぱいだ。
子育てではランドセルの色やオモチャの選択肢を性別で狭めていることがある。「ジェンダーの垣根を超えた世界から選ぶことで視野が広がります。その方が新しいことを生み出せるクリエイティブな視点を持つ子に育ちます」と鶴岡さん。そう、いろいろな価値観を受け入れられる人は、すでにビジネスの世界で重宝されている。
とはいえ、子供が集団の中で浮いてしまうのでは?と心配になることも。「自分の気持ちを押し殺して周囲に合わせて生きなさいと伝えるのか、周りと違う道だとしても、あなたらしく生きなさいと育てるのかは親の覚悟しだい」と鶴岡さん。いわゆる「安定」を求めることが子供を苦しめることもある。
「親は多数派でいてほしいわけではなく、幸せに生きてほしいのですよね。子供の選択を応援する覚悟を持って一番の味方でいて下さい」とも。「幸せ」に生きることが大事なのは大人も同じ。まずは親が人生を楽しむことを大切にしたい。
きみは世界でただひとり〜おやこで話す はじめてのLGBTs
鶴岡そらやす 著 一芒 イラスト
日本能率協会マネジメントセンター ¥1,500
鶴岡そらやすさん
レインボーかたつむり協会代表。幼稚園・小学校時代を父子家庭で、その後をステップファミリーで育つ。大学卒業後、公立小・中学校で教師として15年間勤務。退職後は自立型学習塾の経営、講演活動などを行う。2018年に自身がセクシャルマイノリティであることを公表。
文/江頭恵子
FQ Kids VOL.04(2020年秋号)より転載
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