2022.02.01
2022.03.05
2023.11.06
知っている・見たことがあるものに安心感や親しみを感じる乳幼児期を経て、だんだんと未知なるものに興味を持っていく子どもたち。恐竜が子どもたちに人気なのは、驚異的なスケールの大きさや、誰も見たことがないけれどたしかに存在したという謎多き実態に、想像力が刺激されるからかもしれない。
日常的に図鑑やフィギュアなどでも恐竜に親しむことはできるけれど、博物館などでの“見せ方”も日々進化している。よりリアルな骨格標本や化石などに触れることで、「もっと知りたい!」「見てみたい!」という知的好奇心はさらに高まるはずだ。この秋に開催された、最新技術が駆使された恐竜イベントを取材した。
ティラノサウルス「スタン」頭骨標本
ソニーストア 名古屋で2023年10月7日(土)~ 22日(日)に開催された「恐竜ミュージアム ―科学で紐解く恐竜の世界―」は、計20点の骨格標本をはじめ、CG映像、ワークショップなど、ソニーのクリエイティビティ&テクノロジーが活用された恐竜展だ。
白亜紀末期(約6,800万年~6,600万年前)の恐竜たちの骨格標本の展示は、恐竜世界ナビゲーターとして幅広く活躍する恐竜くんが企画・監修を行った。注目は、世界で初めて脳腫瘍の痕跡が確認され、全身にわたる激しいけがや病気による変形の痕が数多く見られるゴルゴサウルスの骨格標本。
恐竜くんとゴルゴサウルス「ルース」の骨格標本
小さな指先や尾の先端部など失われやすい細部も含む、全長7m×高さ3mのとても貴重な全身骨格標本で、2021年・2022年の「DinoScience 恐竜科学博」でも公開され、話題を呼んだ「ルース」(愛称)だ。
大型肉食恐竜には肋骨の変形や足の疲労骨折などの症例はよく見られるものの、「ルース」の骨格にはそれ以上の病変部が全身に確認できる。脳腫瘍による何らかの機能障害が多数のけがの原因となり、真っすぐに歩くことさえ困難な状態で何年も生き延びたのではと推測されており、現在も研究が進められているそうだ。
恐竜の大きさや迫力だけでなく、生命力の強さにも、多くの子どもたちが心を動かされたことだろう。
さらに、「白亜紀体験シアター ~恐竜たちが生きる世界~」では、恐竜の世界が精緻に再現されたCG映像を超高精細なソニーのCrystal LEDで約3分間上映。最新の研究で明らかになった恐竜の体の構造から、質感や動き方、当時の植生にいたるまで恐竜くんが徹底的に監修した美しい映像に、来場者は魅了された。
ⒸDinoScience 恐竜科学博製作委員会2021
また、ティラノサウルスやトリケラトプスなど、恐竜の3DCGモデル3体を展示。立体映像を裸眼で見られるソニーの「空間再現ディスプレイ(Spatial Reality Display)」によって、恐竜の肌の質感や体のつくりなどをリアルに映像体験することができた。
ⒸDinoScience 恐竜科学博製作委員会2021
開催期間中には、木製のハンマーとノミを使って石膏プレートに埋められた化石を発掘する化石ハンター体験や、恐竜の実物化石を封入して地層を模すガラスボトル作りなど、より恐竜に関わる世界を楽しんで親しめる体験も催された。
写真左:ワークショップ①:トレジャーハンター、写真右:ワークショップ②:ダイナソーボトル
全長7m、高さ3mに及ぶゴルゴサウルスの全身骨格標本を間近で見ることができ、その迫力と生命の神秘にとても感動! 「本物に触れる」経験というのは何にも代えがたいものだと改めて実感できました。
科学やクリエイティブなテクノロジーは、恐竜の生き様や息づかいまでもリアルに感じられるようになるほど進化してきている。恐竜の生態にまつわる事実もアップロードされ続け、親世代が学校で子どもの頃に教えられたことが覆されるようなことも多い。
そんな本物に親子で触れ、素直に驚きや感動などを共有できる時間は、お互いの世界をより豊かに広げてくれるだろう。恐竜の世界から、ますます目が離せなくなりそうだ。
文・写真:FQ Kids編集部
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