2021.03.10
2020.09.24
2022.08.13
市区町村ではさまざまな子育て支援が実施されている。「活用した方がいい」「子育ては社会でするもの」とはいうが、実際どんなサービスがあるのか、自分も使っていいのかなど、認識は曖昧だったりする。
一方で政府は、「2025年までに女性の就業率82%」という目標を掲げている。これまで多くの女性が子育てのために職業上のキャリアを諦めてきた。これは社会にとっても損失だ。子供・パパママ・社会の三者にとって望ましい子育て環境を築くために、自治体職員たちはどんな課題意識を持っているのだろうか。
保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」を運営する株式会社明日香は、「子育て支援」に関する業務を行っている自治体職員101名を対象に、自治体職員の「子育て支援」に関する意識調査を実施した。
まず尋ねているのが、「2025年までに女性の就業率82%」という政府目標を知っているか。「知っている」と回答したのは3割にとどまった。
Q.政府は「2025年までに女性の就業率82%」という目標の設定をしています。あなたはこの目標を知っていますか。
「知っている」と回答した職員に、この目標を意識して子育て支援業務を実施しているか質問したところ、「非常に意識して実施している(40.6%)」と「やや意識して実施している(34.4%)」を合わせて75%が目標を意識して業務にあたっていることがわかった。
Q.あなたは「2025年までに女性の就業率82%」の目標を意識して子育て支援業務を実施していますか。
では、自治体職員が特に注力している子育て支援施策は何だろうか。上位3つを尋ねたところ、1位は「地域子育て支援拠点事業」、2位は「ファミリー・サポート・センター事業」となった。
Q.現在、特に注力している子育て支援施策について、上位3つまで教えてください。(複数回答)
「地域子育て支援拠点事業」とは、子育て中の親子が交流したり相談したりすることを通して、孤立感、負担感を解消できる場所や機会を提供するもの。「ファミリー・サポート・センター事業」とは、子供を預かることで子育てを支援しようという人と、パパやママとを仲立ちする事業だ。
この他にも、注力している施策として「子育ての無償化」「共働き世帯をサポートする事業」「待機児童問題」「虐待防止の啓発」など、幅広く挙げられた。
子育て支援施策について、課題として感じていることとしては、トップは「指導員の確保ができない(50.5%)」、続いて「指導員の待遇の改善が難しい(44.6%)」となった。児童指導員は責任の重い仕事だ。自治体財政が厳しい中、資質や意欲の優れた指導員確保に苦慮していることがわかる。
Q.子育て支援施策について、課題として感じていることを教えてください。(複数回答)
調査では「母子保健と児童福祉の連携」についても課題を感じるかと質問し、多くの職員がその必要性を認めている。ただし、縦割り組織や情報交換の難しさなどから課題が残されているようだ。
パパママにとって保健と児童福祉は地続きの問題であり、行政の柔軟な対応が求められるところだ。
コロナ禍で病院も保健所も崩壊しかねない運営を強いられてきた。子育て施設についても、なんらかの要因で同様のことが起きないとは誰も断言できない。長い間、行政改革の名のもとに自治体でも組織のスリム化や人減らしが進んできた。そのツケが住民に回ってくるような事態があってはならない。
安心できる地域の支援体制があってこそ、子供はもちろんパパママも、仕事をはじめ自分の人生を大切にすることができる。今一度、住んでいる自治体の子育て支援施策について、有事に対応できるものか、持続可能なものかなど、チェックする必要もありそうだ。
〈調査概要〉
自治体職員の「子育て支援」に関する意識調査
・調査方法:インターネット調査
・調査期間:2022年5月25日~26日
・有効回答:「子育て支援」に関する業務を行っている自治体職員101名
・調査元URL:www.g-asuka.co.jp/job-info/topics/21147.html
文:平井達也
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