2021.03.06
2022.12.17
2022.09.06
ある夫婦がNEWSを見ながら戦争について議論している。ウクライナについて、ロシアのプーチンについて、妻はウクライナに同情的だが、夫はプーチンの言い分に賛同している。ウクライナ大使館に寄付しようとする妻と、それはネオナチに武器をわたすようなものだと反論する夫。
そこに子供がやってきて言う。
「戦争って何?」
書店に行ってみると、実は5、6歳向けくらいから、戦争についての絵本はいくつか見つけることができます。有名なところだと、谷川俊太郎の「へいわとせんそう」があります。これは戦争と平和の違いをシンプルに伝えている絵本。「へいわのボク」と「せんそうのボク」では何が変わるんだろう、と語りかけます。
「へいわのボク」はいつも通り。いつもと同じに立っている。
「せんそうのボク」は座り込んでしまっている。
「へいわのワタシ」は勉強をしている。これもいつも通り。
「せんそうのワタシ」は何もしてない。
ページが進むにつれ、戦争と平和の違いが日常の違いとして、迫ってきます。
最後は「てき」も「みかた」も同じ太陽をみていること、「てき」の赤ちゃんと「みかた」の赤ちゃんがページに並べられている、という絵本です。
アメリカでは3歳児からを対象に「The Peace Book」という平和教育の教材として使われた絵本があります。作者は トッド・パール。1962 年生まれの絵本作家、イラストレーターです。
へいわってどういうことなんだろう?
「Peace is making new friend」(へいわって あたらしい ともだちを つくること……)
「Peace is listening to different kinds of music」(へいわって いろんな種類の 音楽をきくこと……)
「Peace is being who you are」(へいわって きみが ここにいること……)
そんなふうに、問いかけていきます。そして、
「へいわってなあに、みんなちがっていいえがお あなたはあなたのままでいい」
そんなふうに終わります。子供に分かりやすく、イラストもシンプルで良い感じ。
子供に読み聞かせても良いけれど、大人でも、平和って、実は身近にある出来事ばかりなんだなぁと再認識できます。
この原稿を書いている4月5日の段階でも、ウクライナでは戦争が起きている。女性も子供も老人にも犠牲者は出ています。
実際の戦争による痛みや悲しみを学び、平和の大切さを真に理解するためには、小学校低学年程度の理解力や感受性が必要になると思いますが、シンプルに「へいわってこういうこと」と、幼児期から積み上げていくことって大切だなと思いました。
それが大人になった時に、こころの奥底にある「平和の砦」となるのだと思うのです。
左:『へいわとせんそう』
たにかわ しゅんたろう 文/Noritake 絵
ブロンズ新社 2019年
右:『ピース・ブック The Peace Book』
トッド・パール 作/堀尾 輝久 訳
童心社 2007年
谷崎テトラ(TETRA TANIZAKI)
1964年生まれ。放送作家、音楽プロデユーサー。ワールドシフトネットワークジャパン代表理事。環境・平和・社会貢献・フェアトレードなどをテーマにしたTV、ラジオ番組、出版を企画・構成するかたわら、新しい価値観(パラダイムシフト)や、持続可能な社会の転換(ワールドシフト)の発信者&コーディネーターとして活動中。シュタイナー教育の教員養成講座も修了。
公式サイト:TANIZAKI TETRA OFFICE
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