豊田エリーさんが心がける「娘を常に一個人として尊重する」子育てと夫婦の役割分担

豊田エリーさんが心がける「娘を常に一個人として尊重する」子育てと夫婦の役割分担
屈託のない笑顔でハッピーオーラ全開の豊田エリーさん。11歳の女の子のママ、人気俳優・柳楽優弥さんの妻、女優として、舞台やテレビで活躍する忙しい日々を過ごす。そんな豊田さんの少女時代、そして手探りで奮闘してきた育児について伺った。

舞台に憧れた自分のように
娘の夢も応援したい!

女優、モデルとして活躍する豊田エリーさん。21歳にして結婚、出産を経験し、現在は11歳の女の子のママとしても日々を忙しく過ごす。自由でイベント好きなイギリス人の父と、それをやさしくサポートする日本人の母のもとで育ってきた。

「父はイベント好きで誕生日やクリスマスは全力でお祝いしてくれました。子供の頃は、夏はキャンプや海、冬はスキーというようにアウトドアに親しんでいて、どちらかというとわんぱくな少女時代でしたね(笑)。

小学生になると母や親戚の人がよく舞台を観に連れて行ってくれて、自然と舞台で演じることに憧れていきました。その後ミュージカル『アニー』のオーディションにトライするも出演は叶わず、今でも悔しい気持ちをはっきりと覚えています。

芸能界に入ったのは中学生の時に、当時の事務所にスカウトされたことがきっかけです。ただ、『学業がおろそかになるから』という理由で母はあまり肯定的ではありませんでした。ですが芸能コースのある堀越高校に入ったことで、私が相当な覚悟を持っていることを認めてもらえ、そこからはずっと応援してくれています」。

そののち俳優の柳楽優弥さんと若くして結婚。母になってからは、試行錯誤を繰り返し、夫婦2人協力して長女を育ててきた。

「出産当時、同世代は大学生。周りに相談相手がいなくて、孤独でしたね。子育てで困っていることをインターネットで検索して、似通った相談記事に共感して、自分もアドバイスをもらったような気になっていました(笑)。

娘が小学生になってからは、同業者で娘と同じ学校に通う心強いママ友もでき、育児や仕事のことを話すなど、相談相手ができたことが嬉しかったです。

育児のモットーというか大切にしていることは、自分の子供に対して、『一個人』なんだということを赤ちゃんの頃から意識して接していることです。というのも、縁あって私のもとに産まれてきてくれたけれど、偶然出会った1人の人間と変わりはなく、家族だけどその距離感を保つのがお互いのためにいいなと思っているので……。

つまり娘だけど私の分身じゃなくて別人格。考えることや好きなものがすべて一緒とは限らないので、娘の考えや好きなものは尊重するように気をつけています。

娘はアニメが大好きで、今は声優という職業に興味をもっているようです。私はすごく詳しいわけではないのですが、自分で夢中になれることを見つけてくれたことが嬉しく、進む道を応援したいと思っています。でも、11歳とはいえまだまだかわいいわが子。信頼して任せたいと思っている気持ちと、心配な気持ちの2つで揺れることもありますけどね(笑)」。

独創力を大切にしたい
11歳の今でも“読み聞かせ”

子供を一個人として尊重している豊田さん。その姿勢は最近注目を集める、「非認知能力」という考え方にも通ずる。

「たしかに、非認知能力といわれている自己肯定感や創造力を伸ばしてあげたいなと思って、そこは意識しています。娘は11歳ですが、今でも本を読んであげたり、逆に娘に読んでもらう時間を楽しんだりしています。

たまに本の世界に一緒に入り込んで、それぞれが架空の物話を創造して作ってみたりもします。私が考えつかないような世界観を話してくれてびっくりすることもあったりと、そんな創造力を膨らませる時間を大切にしています。

学校の勉強もとても大切ですが、今は自由な発想を持っている時期なので、それは伸ばしてあげて、いっぱい褒めて自信をつけてもらいたいなと日々思っています」。

創造力や自己肯定感を伸ばすことを、育児のなかで自然に取り入れている様子の豊田さん。子育てにおける夫・柳楽さんとの役割分担も自然にでき上がったそうだ。

「夫は娘に『礼儀正しく育ってほしい』という気持ちがあったようで、注意する時もキチンと言うタイプでした。娘も私に言われるより背筋が伸びる感じですね。これは最近夫から聞いたのですが、『小さい頃の方が意識して厳しくしていた』ようで、そのかいあってか、今でも挨拶などは自然とできる子になったと思います。私はそれをフォローする役に徹して、夫婦でバランスをとるようにしています。

年頃の女の子ではありますが、父娘の仲はとても良くて、私が仕事で家を空けてしまう時も2人でアニメショップに行ったりと、仲良く過ごしているのが微笑ましいですね。

去年の私の誕生日は仕事だったのですが、家に帰ったらケーキとお手製の飾りを用意してくれていて、娘が手紙をくれたんです。『これからも楽しいこといっぱいしようね』って書いてあって、その気持ちが本当にすごく嬉しくて涙ぐんでしまいました。これからも家族みんな、お互いを思いやる存在であり続けたいなと思います」。

PROFILE

豊田エリー(ELLIE TOYOTA)

1989年1月14日生まれ、東京都出身。女優として舞台などに出演するほか、バラエティ番組やCMでも活躍。2010年に俳優の柳楽優弥さんと結婚、1児の母。

第14回ペアレンティングアワードママ部門受賞


文:松永敦子
写真:藤記美帆
衣装協力:suzuki takayuki、atelier ST, CAT

FQ Kids VOL.09(2022年冬号)より転載

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