2021.01.16
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2022.05.24
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「探究心とは、子供自らが学ぼうとする学びの力。もっと知りたいという知識欲とダイレクトに繋がっているので、学力にも影響します。
探究心を育むには、おもしろい、楽しいという体験だけではなく、どうしてだろう? なぜだろう? といった“疑問”を起こさせることが大切。勉強する時も、子供たちなりに『なぜ?』と理由を考えることが、本物の学力に繋がっていきます」。
探究心を育むための教材は、日常生活の中に転がっている。口にするもの、目にするもの、使っているもの、捨てているもの……。世の中は、あらゆる「繋がり」によって成り立っているが、利便化された社会では、ブラックボックス化してその繋がりが見えづらい。身近なものが、どういう繋がりで構成されているのか。それを知る体験学習は、探究心のスイッチを押すきっかけになりうるという。
「例えば、時計ってどうやって動くんだろうと思ったら時計をばらしてみるとか。ホットケーキや白玉など粉物の料理を作る過程で、粉と水の適正な割合について考えてみてもいいでしょう。探究心というのは、自分で調べて、実際にやってみることで育っていきます」。
なお、探究心がもたらす効果を、特定の対象だけでなく、学力や他のものにも転化させていくのなら、「共有すること」が効果的だそう。
「人間は、自分だけでは自己形成できない。他者とぶつかったり付き合わせたり、新たな価値観に触れたりするなかで成長している。その子の知識をその子の中に留めておくのではなく、発表などでみんなと共有することで、さらなる発見や楽しみが生まれ、探究することの喜びも深まっていく。他のものへも転化しやすくなります」
探究心
どうやって伸ばす?
教えるのではなく、
投げかけて一緒に考える
子供の探究心を育てるには、大人の働きかけが必要だ。「やってみたいという気持ちを育ててあげるには、『どうすればいいと思う?』など、子供への投げかけが大切です。一方的に教えてしまう方が大人としては実は楽なのですが、あえて子供に考えさせながら進めることで探究心は伸びていく。
また、子供の興味・関心と、探究心の間にはいくつもの階段があります。そこを繋げるために、楽しげな仕掛けを大人が用意することも必要です」。
増田修治先生
白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。1958年生まれ。埼玉大学教育学部卒。小学校教諭として28年間勤務経験を持つ。初等教育の教員育成に携わるとともに、保育・幼児教育・小学校教育における子どもの発達や学力、いじめなど多様な課題に取り組んでいる。著書に、『笑って伸ばす子どもの力』(主婦の友社)、『「ホンネ」が響き合う教室』(ミネルヴァ書房)、『幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿を育む保育実践32』(黎明書房)など多数。
文:曽田夕紀子
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