お互いの理解が秘訣!? 子育て家族がゲームやデジタルデバイスと上手に付き合う方法

お互いの理解が秘訣!? 子育て家族がゲームやデジタルデバイスと上手に付き合う方法
今や生活の一部となったデジタルデバイスやゲーム。子供たちには、どのように使わせてあげるのが適正なのだろう。小島慶子さんが、息子さんたちと“ゲームとの付き合い方”をめぐる経験から学び得たこととは?

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ゲームやデジタルデバイスと
わが家の付き合い方

子供のゲームのやりすぎをどうするか、スマホをいつから与えるべきか、悩ましいですね。

2000年代前半生まれの息子たちが赤ちゃんの頃は、「大人しくしていてくれるからと言って、赤ちゃんに知育DVDを見せっぱなしにしてもいいのか?」が話題になっていたのですから、今から思えばデジタル石器時代。YouTubeの開設は2005年、iPhoneの誕生は2007年です。2003年と2005年生まれの息子たちの乳幼児期は、まだスマホ育児という言葉すらこの世に存在していなかったのです。

その後、わが家もゲームやデバイスとの付き合いには大いに悩みました。2004年に発売されたニンテンドーDSは、息子たちが小学生の頃には大人気。わが家に初めて登場したゲーム機は、ニンテンドーWiiでした。時間を決めて使っていましたが、親子で一緒に体を動かして遊べるのでなかなか楽しかったです。

子供に自分専用のゲーム機を買い与えたのも小学生の時。2013年、当時小2の次男の誕生日と小5の長男のクリスマスプレゼントにそれぞれ買ってあげたのですが、翌2014年2月にオーストラリアに引っ越したのを機に、ゲーム機とはさようならしました。新しい環境に慣れることに集中しなくてはならなかったからです。

そこから数年はゲームなしの生活で、長男が中2の時にiPodにマインクラフトをダウンロードしてあげたのをきっかけに、小5の次男のiPadにもマインクラフトをダウンロードし、ついにわが家にもデジタルデバイスのゲーム時代がやってきました。

もちろん、ゲームに親子のバトルはつきものです。「プレイする時間を守る」「新しいゲームをダウンロードするときは、今あるゲームを1つ消す」などのルールを作って、かなり厳しく運用しました。ゲーム機の方はというと、わが家には長らく出入り禁止で、解禁は昨年。長男は高3で自分専用のXboxを手に入れました。

10月の高校の卒業式と11月の大学入試が終わったあと、バイト代を貯めて購入したのです。今は大学の課題が終わった後など、好きな時間にやっています。もう18歳(オーストラリアの成人年齢)だし、ある程度分別もあるので本人に任せています。

次男もやはり昨年、お小遣いを貯めて友人から型落ちのゲーム機を買い取りました。当時、次男は中3。オーストラリアは全て中高一貫なので高校受験はなく、10年生(高1)からは学校で大学受験に向けた勉強が始まります。次男は「僕、来年から勉強が大変になるから、9年生(中3)はリラックスして過ごすことに決めた」と、ゲーム機入手の許可を申請したのです。

夫と私は、学業を疎かにしないこと、ゲーム依存のリスクを理解して節度ある遊び方をすることなどを条件に許可。自分なりに勉強とメリハリをつけてやっているようなので今のところは任せています。

子育てや教育にとって
環境よりも影響が大きいのは?

息子たちを見ていて思うのは、一緒に遊ぶ仲間が結構大事だなあということ。次男は学校の友人とゲームをしているのですが、テストが近づくと仲間で「今日まではゲーム」と決めて一緒に遊び、翌日からはテキストでやりとりしたりオンラインで繋がったりしながら一緒に勉強を進めています。10代は家族よりも仲間との関係を重視する年頃なので、ゲームと勉強のメリハリをつける仲間と出会えたことは次男にとってラッキーでした。

長男の時は、仲良しの子たちの中で高校卒業後の進路や勉強に対する価値観などが色々だったので、私は「気の合う友人でも、勉強に対する考え方が違うことはある。もし君が勉強に集中したいときに邪魔したり、“それなら友人をやめる”と言う人がいたら、本当にお互いを大切にしあう友人関係でいられるのか考えてみるといいのでは」と繰り返し伝えました。

長男は大学に進学し、地元の仲間は進学したり就職したり軍隊に入ったりと進路は様々ですが、今でもとても仲良くしています。友人たちと一緒に遊びたいのを我慢して学業を大事にした長男も、それを理解して長男との友情を育んだ友人たちも、よくがんばったと思います。

子育ては環境が大事と言いますが、学業に関して色々な価値観の子がいる学校で学んだ長男と、周囲に比較的似た価値観の子が多い次男を見ていて思うのは、環境の影響は確かに大きいけれど、決してそれが全てではないということです。

肝心なのは親子の会話。そして何よりも子供自身が「自分は何のために勉強するのか」を自分の言葉でわかっていることです。勉強の動機付けがなければ、ただ大人に命令されているとしか感じません。また、ゲーム依存やスマホ依存のリスクを親子できちんと理解しておくことも大事です。

わが家では、ゲームやSNSとの付き合い方を親子で話し合うことを通じて、何のために勉強するのか、いい友人とは何か、自分とは違う環境の人と違いをわかった上で友情を育むためには何が必要かなど、色々なことを話し合いました。子育てに正解はないけれど、その道のり自体が豊かだなと改めて思います。

プロフィール

小島慶子(こじま・けいこ)
エッセイスト、タレント。東京大学大学院情報学環客員研究員。昭和女子大学現代ビジネス研究所特別研究員、NPO法人キッズドアアドバイザー。1995年TBS入社。アナウンサーとして多くのテレビ、ラジオ番組に出演。2010年に独立。現在は、メディア出演・講演・執筆など幅広く活動。夫と息子たちが暮らすオーストラリアと日本とを行き来する生活を送る。著書『曼荼羅家族』(光文社)、他多数。
Twitter:@account_kkojima
Instagram:keiko_kojima_
公式サイト:アップルクロス

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