2023.05.30
2021.05.10
2023.02.13
実は、わが家の子供たちも好き嫌いが多いんです。長女はナッツが苦手。長男は海の生き物全般がダメ。そして次女はお肉が食べられません。見事にバラバラです。
それぞれ嫌いなものが食卓に並んだ時は、毎回一度は食べるようにチャレンジさせています。それでも食べられない時は、お肉がメインの日なら、その子だけ代わりに魚を焼いて出します。魚がメインの日であれば、買っておいたお肉をさっと焼いて「毎回こうだと思わないでね!」なんて言いながら出してみたり。
肉も魚も成長にはとても大事なタンパク質。食べられないからと、一品抜いてしまったらその分の栄養が摂れないので、そうはならないようにだけ、注意しています。
食事のたびに毎回対応するわけですから、ものすごく面倒で大変です。でも、自我の芽生えとともに自分の好き嫌いに気づいて、それを自ら表明できる力がついてきたんだと捉えて、「これも成長過程の1つかな」と思うようにしています。
たしかに偏食は困りますが、極論、苦手なものを食べられるようになる必要はないと思います。基本的に、その食べ物でしか得られない栄養はないので、例えば人参が嫌いでも、他の緑黄色野菜からその分の栄養素を摂ればいいわけです。無理に食べさせようとしなくてもいい。
ただ、嫌いなものをその子の世界からなくしてしまうことは避けたいですね。いっしょに食事する人が、「こんなに美味しいものを知らない人生なんて損しているよ」なんて言いながら、美味しそうに食べているところを見せる。
そうやって、その子とその嫌いなものとのいい出合いのタイミング、「なんだ、いけるじゃん!」と思える日がやって来るのを待っていてあげることが大切かな、と考えています。
実は私は、貝類がちょっぴり苦手です。特に形や色が個性的な貝はあんまり得意ではありません。自分の場合を考えた時に、横から「いつ食べるんだ?」と威圧的にジロジロ見続けられたら、全然ハッピーじゃないですよね(笑)。
誰かのために食べるのではなく、自分のために食べるのだとしたら、自分のタイミングで食べられるようになればそれでいいのかなって。そんなふうに思っています。
野菜などは、細かく刻んで混ぜこみ、ごまかして食べさせるなんてことをしますよね。確かにそれも食べてみるきっかけとしては有効だと思います。「実は入っていたんだけど、ちゃんと食べられたね!」「うん、よかった!」なんて展開になるような子なら、苦手を克服する1つのきっかけにはできるかもしれません。
でももしうちの子供だったら「なんで騙したんだ!」とプンプン怒ると思うので(笑)、子供によって合う・合わないは異なると思っていた方が良さそうです。
また、よくあるのが「食べず嫌い」という場合。親が食卓に出してこなかったものを食べず嫌いになることが多いと聞きます。食べ方を知らないものに対しては、動物的本能で警戒するからだそうです。
やっぱり、好き嫌いでも食べず嫌いでも、そばにいる大人が「これ大好きなんだぁ」なんて言いながら美味しそうに食べているところを見せてあげたりすることで、子供に「それは美味しいものなんだよ」と伝え続けることが、一番大事だと思います。
魚全般が食べられないわが家の長男ですが、なんと、旅行先だと地場の魚を食べるのです。それこそ「鮎の塩焼き」のような、ザ・魚のようなものであっても。最初は「産地にうるさいグルメな人なの?」とびっくりしました。
理由を聞いてみると、どうやら動画サイトでアニサキスなどの寄生虫の映像を見たらしく、「そういうものが潜んでいるかもしれないからスーパーに並んでいる魚は嫌だ」と言うのです。それを聞いて、妙におかしくて笑ってしまいました。子供なりにちゃんと理由があるんだな、と。
子供の食事のことを考えた時に「嫌い」だけに着目してしまうと、どうしても「じゃあ私たちができることは、それを食べられるようにしてあげることだ」と思いがちです。でも、なぜそれが嫌いなのかを分析するつもりで接してみると、思わぬことがわかったりします。結果的に何か別のアプローチの仕方が見えてくるかもしれません。
長男の場合だと、家庭ではもう対策のしようがありません。だったら、旅行に行った時にいろんな魚をチャレンジさせてあげればいいか、と思うようになりました。
子供の成長に伴って、少しずつ言葉で説明できるようになったり、「これなら食べられそう」と入口がつかめたりするものです。嫌いなものも、その子の世界から消えないように、諦めず、しつこく付き合っていきたいですね。
和田明日香
料理愛好家・平野レミの次男と結婚後、修業を重ね、食育インストラクターの資格を取得。各メディアでのオリジナルレシピ紹介、企業へのレシピ提供など、料理家としての活動のほか、各地での講演会、コラム執筆、CM出演など、幅広く活動する。
文:志村江
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