子供の好奇心を刺激し感性を豊かに。注目の「庭育」始め方ガイド&おすすめアイテム!

子供の好奇心を刺激し感性を豊かに。注目の「庭育」始め方ガイド&おすすめアイテム!
庭は、小さな自然が詰まった場所。庭やエクステリアのデザインを手がける企業「GARDENS GARDEN」の宮本里美さんは、庭を子供の感性や非認知能力を育む場所ととらえ、“庭育”という概念を広めている。

幼少期の庭いじりが
豊かな人生のきっかけになる

「草や花と同じく、私たち人間も自然の一部です。同じ自然界の生き物だからこそ、草花に触れると心地いいと感じるのでしょう。また、人間には豊かな五感が備わっています。青々と茂る芝生を眺めたり、鳥のさえずりを聴いたり、花の香りを嗅いだりすることで、誰もが五感を刺激され、癒されるはず。自然は人間の本能を満たしてくれるのだと考えています」。

長年にわたりガーデンデザインに携わってきた宮本さんは、こう、自然の魅力について語る。続けて、「庭こそが小さな自然が詰まった場所です」と話す。

「毎日、何かしらの変化が起きるのが自然界です。小さな自然界である庭も、日々変化していきます。庭を観察していると、植物の葉が増えたり芽が出てきたり、様々な変化が生じているのがわかりますよ」。

変化するからこそ、子供の好奇心が刺激される。変化を楽しむうちに、庭が好きになる子が多くいるという。また、庭に親しむことで、季節の移り変わりを楽しむ心や“小さな幸せ”を感じる心が養われるそう。変化を楽しむ心や小さな幸せを感じる心は、いわば豊かな感性。豊かな感性は、非認知能力の1つであり、人生を豊かに、楽しく生きるうえで役立つものでもある。

「例えば、花の芳しい香りを嗅いだ時、子供の頃から庭や自然に親しんできた人であれば、『もう春が来たんだな』と春の訪れを楽しむことができるはず。芳しい香りを嗅いで、幸せな気分に浸れる人もいるでしょう。また、感性が豊かであれは、自然のダイナミズムだって感じ取ることができます。

自分よりもずっと大きな存在である自然に触れれば、自分の悩みがちっぽけに感じられるもの。そうした感覚を持ち合わせている子は、将来、社会で壁にぶつかっても押しつぶされてしまうことはないと思います」。

自由な発想のもと、
思い切り遊べる場所が砂場

庭で非認知能力を育む方法は、多様にある。

「子供の責任感を養いたいと思ったら、明確な役割を与えてあげるといいでしょう。水やりなど、草花のお世話にあたる作業は小さな子供には難しいと思うので、観察係や見張り番をお願いするのがオススメです。“草花がどれくらい成長したか、パパやママに教えてね”とか“鳥や虫にいたずらされないように、見張っていてね”と伝えれば、子供は役割を果たそうと努力するはずですよ」。

また、庭は好みや目的を自由に反映できる場所。たっぷりと芝生を敷けば走り回れる運動場に、ブランコや砂場を設置すれば小さな公園になる。道具をそろえれば、おうちキャンプやBBQをすることだってできる。様々なアレンジがある中、宮本さんがオススメするのが、庭に砂場を設けること

「子供たちが自由な発想で楽しく遊べるのが砂場です。砂場に行くと、ほとんどの子供が『おままごと』を始めます。『おままごと』は、子供がもっている自由な発想を存分に発揮できる遊び。砂場での『おままごと』をとおして子供の想像力・創造力が養われるので、ぜひ庭に砂場を作り、積極的に『おままごと』をさせてあげてほしいですね」

「『幕張ハウジングパーク』にある、庭育をテーマとしたモデルガーデンです。体験もできるので、ぜひいらしてください」(宮本さん)

庭づくりにまつわるQ&A

庭づくりの経験がほとんどなく、“失敗してしまうのでは?” と不安です。

A.多くの方が植物によって育て方が違うことを理解していないようです。植物が枯れてしまうのは、適切な明るさや水を与えていないから。植物を育むことは子育てと一緒なので、毎日観察して、変化に気がつけるようになっていただきたいですね。同時に、生命の尊さにも気がつけるはずです。ぜひもっと、植物について学んでくださいね。

子供が草花に興味を示さないのですが……?

A.野菜やフルーツ、ハーブなど、食べられるものを育ててはいかがでしょう。食べられるものであれば、より子供の興味を引き出せるはずです。

庭やベランダなど場所を問わず、日光がよく当たるスペースがあるなら、そこでブルーベリーやワイルドストロベリーなどを育てるのがオススメです。赤や紫に色づいたベリー類はちぎって取って、おいしく食べることだってできます。また、意外にも子供はハーブティーが好きなので、ハーブに挑戦してみるのもいいでしょう。

子供が楽しく土いじりをするには、どうすればいいでしょう?

A.子供用のじょうろやスコップをプレゼントしてあげてください。自分の道具ができると、喜んで遊んでくれます。ちなみに、ままごとセットもオススメですし、男の子はダンプカーが大好きです。

こうした道具があれば、より自由な発想で遊んでくれるはずですよ。ただ、遊びに熱中するうちに、熱中症にかかってしまうリスクがあります。パラソルを設置するなどし、必ず日陰をつくってあげましょう。

そもそも、わが家には庭やベランダがないのですが……?

A.スペースがなくともアイディアがあれば、草花を育てることができます。特にオススメなのは、水を入れたコップに植物の茎を挿して育てるという方法です。だんだんと茎の先から根が出てきて、日々変化を楽しむことができますよ。

なお、水挿しでの栽培に向いている植物は、アイビーやポトス。生命力がとても強く、力強い根が出てきます。たくさん水挿しを作り、ダイニングや子供部屋など、家の各所に置くのもステキだと思います。水を切らさないように注意してくださいね。

編集部厳選!
もっと“庭育”を楽しむためのアイテム

育てるグリーンペット

¥715(税込)

セパレート型のペットボトルで、土を使わずに野菜やハーブを育てる水耕栽培セット。写真のワイルドストロベリーのほか、ミント、バジル、レモンバームなどがある。オンラインでも購入可能。

問/SEISHIN
TEL:0561-82-7517
HP:seishin-tougei.com


どこでもガーデンフレーム

※画像は、3台使用したイメージ

¥2,980(税込)~

駐車場をはじめとする、ちょっとしたスペースで菜園や花壇を作ることができる。水に強い合成木材なため、腐敗するリスクが少ない。木目柄とレンガ柄のリバー
シブル模様で、おしゃれに。オンラインでも購入可能。

問/CAINZ
TEL:0120-87-7111
HP:www.cainz.com/jp


育苗トレー

¥220(税込)

スクールバスのようにも見える、キュートな育苗トレー。それぞれのコーナーに用土とタネを入れ、芽生えた後は、他の場所へ定植しよう。カラーパターンは、グリーン、ブルー、ライトグリーンの3種類。

問/Flying Tiger Copenhagen 表参道ストア
TEL:03-6804-5723
HP:blog.jp.fl yingtiger.com

教えてくれた人

宮本里美さん
庭づくりに加え、「幸せ感」を生み出す家づくりもサポート。「GARDENS GARDEN」のオーナーデザイナー。


文:緒方佳子

FQ Kids VOL.06(2021年春号)より転載

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