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2020.04.20
新型コロナウイルス感染拡大防止のための休校措置により、子供たちは自宅学習を余儀なくされている。しかし、自宅だと気が散ってなかなか勉強が頭に入らない様子で、悩んでいる親も多いだろう。そこで、とある実験結果をもとに「自宅学習におけるコツ」を紹介したい。
今回注目したいのは、NTTドコモ(以下ドコモ)とすららネットが行った「学習前の感情が記憶力に影響を与えるかどうか」を検証する実験だ。
対象は小学4年生から中学3年生までの123名。思い出やエピソードを聞き、会話によって「怒り」「興奮」「興味」「喜び」「落ち着き」「退屈」などの14の感情を持つよう誘導したチームと、無感情になるよう誘導したチームに分けてテストを実施。絵柄と配置を覚える「見て覚える」テストと、単語と順番を覚える「聞いて覚える」テストを行い、その得点差を比較した。
実験のイメージ。すららネットプレスリリースより引用。
実験の結果、14の感情を持つよう誘導してから記憶力テストを行ったチームの中でも、「興奮」「興味」「喜び」の3つの感情を持ったチームは、記憶力テストの得点が高くなっていたのだ。
ドコモとすららネットによる調査結果より。
実験を監修した早稲田大学教育学部の上淵寿教授は、「記憶の対象と関係のない学習前の感情が、子供の記憶力に影響することを示す重大な結果である。これまで、感情と教育との接点は、感情が子供の社会性や学習行動に影響する点に限定されがちであった。今回の実験で、感情が学力向上に役立つ可能性が示された教育上の意義は大きい。感情を活用した教育の質向上の取り組みに今後も期待したい」とコメントしている。
ドコモとすららネットは今後、ドコモの「音声から感情認識できる技術」によって判定した生徒の感情と、すららネットのeラーニングシステムのノウハウを組み合わせて、生徒の感情に寄り添った指導で学力向上をうながすサービスを開発する予定だ。さらに記憶力だけでなく、注意力や自律性などにも感情が影響するかどうかも今後実証していく。
自宅でなかなか子供の勉強が進まない……という方は、学習前に「興奮」「興味」「喜び」の感情を持つように、子供との会話やミニゲームを積極的に行ってみよう。
子供が勉強を始める前のちょっとしたコミュニケーションで、自宅学習の効率を向上させることができるかもしれない。
〈実験概要〉
●実施:株式会社NTTドコモ、株式会社すららネット
●実験日程:2019年12月15日(日)~2020年1月19日(日)
●被験者数:123名(小学4年生~中学3年生)
●目的:学習前の感情が記憶力に与える影響の検証ならびに記憶力向上に有効な感情の特定
●実験詳細:
◆ 臨床心理士が被験者に対して 1.対象の感情を生起 2.感情がない状態に誘導
・対象の感情は「怒り」「不安」「恐れ」「覚醒」「興奮」「興味」「喜び」「快」「満足」「落ち着き」「眠気」「退屈」「悲しみ」「不快」
・被験者に思い出やエピソードを聞き、臨床心理士との会話によって対象の感情を生起
・対象の感情が生起したことは被験者の自己評価により確認
◆ 1.と2.のそれぞれの状態で、見て覚えるテストと聞いて覚えるテストの2種類の記憶力テストを実施
◆ 1.と2.の記憶力テストの結果を比較することで、学習前の感情の有無が記憶力に与える影響を確認
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