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長引くコロナで、旅行やイベントに行けないと心配する人もいるが、頑張って遠出しなくても身近な日常の中に大事なことはたくさんある。お散歩中に面白い形の石を見つけたり、植物や虫を捕まえたりすることもある。捕まえた虫を家で飼ったり、飼育法を調べるために図書館へ行ったり、子供の興味・関心を伸ばせることを親子で一緒に見つけよう。
「片付けなさい」「早くしなさい」と、頭ごなしに子供を注意していないだろうか。オモチャを広げたままなのには、後で続きをやりたいなど理由があるかもしれない。「ダメ」という前に「どうして片付けないの?」と理由を聞き、「じゃ、時計の針がここまでにやってみようか?」などと提案してみよう。頭ごなしに怒られると、子供は自分が否定されたという印象しか残らず、本当のしつけにはならない。
保護者が子供だったころは、「みんなと同じ」ようにできることに価値があった時代かもしれない。しかし、現代は個性や多様性を認めることがグローバルな課題となっている。だからこそ、まずはわが子の個性を尊重したい。それが、自己肯定感にもつながる。もちろん、自分とは違う他者を尊重し、協力しながら、チームワークで力を発揮することも重要。まずは、自分の個性を大切にすることから始めたい。
大人から優しく対応されて、感謝する気持ちやもっとやりたい意欲を持つなどの「非認知能力」が育った子は、学力にもプラスの影響の可能性があるという研究がある。「非認知能力」は「社会情報スキル」とも言われ、「目標の達成」「他者との協同」「情動の抑制」などを指す。文字や数の前に、育てたい力はここにある。保護者は子供の頑張る姿を応援し、自己調整力を育てることを大切にしたい。
大人から強制的にさせられることより、子供自身が主体的に自ら取り組み、「できた」と感じる達成感(成功体験)を得ることは、さらなる意欲を生み、のちの学習意欲につながる。保護者は子供の気持ちをよく聞き取り、子供がやりたいことがどうしたらできるのか一緒に考えよう。自分に寄り添い、一緒に丁寧に考えてくれる人がいるということに、子供は安心感を持ち、のびのびと自分を育てていける。
「あそび込む」ことは学力の基礎となる
語彙力につながる可能性も
下のグラフは大人主導の一斉保育園と、子供の主体性を大事にする自由遊び園の語彙力の差を比較調査したデータ。語彙力とは全ての学力の基礎となるものだが、全体的に自由遊びが多い子の方が得点が高く、主体性を尊重することが語彙力の伸びにつながることがわかる。
内田伸子、浜野隆編『お茶の水女子大学グローバルCOEプログラム 格差センシティブな人間発達科学の創成 2巻 世界の子育て格差―子どもの貧困は超えられるか』(金子書房、2012年)より
大豆生田啓友さん
玉川大学教育学部教授。乳幼児教育学・子育て支援が専門。NHK Eテレ「すくすく子育て」をはじめテレビ出演や講演活動など幅広く活躍中。著書に『非認知能力を育てる あそびのレシピ』(講談社、共著)など。
文:江頭恵子
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