2020.09.12
2023.10.20
2021.01.27
《 今回の相談内容 》
子供が機嫌を損ねてしまった時の対応に悩んでいます。どちらかというと普段は、おしゃべりで色々なことをよく話してくれる子供ですが、自分の意に反する事が起こったりして、機嫌を損ねた時(怒ると言うより気分が下がる感じ)に、「どうしたの? どうしたい? どうして欲しい?」と聞いても、いつも無言になってしまいます。
イライラしてしまう感情を抑えて、なるべく優しく根気よく、「思ってることを話して」と伝えますが、それでも無言のまま。最終的に話題を変えて機嫌をとり、何だったのか分からずじまいになってしまいます
こんな状況になった時に、上手く気持ちを引き出すには、どのように接すればいいでしょうか?
(かつおさん・4歳男の子の親)
子供が無言のままでいるのは、2つ理由があります。4歳くらいの年齢というのは難しい時期で、言葉はペラペラ出てきますが、自分が考えていることを言語化することは、まだまだ未熟な部分が多いんですね。聞いたことに対して、自分の思いがちゃんと説明できるかといったらそれはまた別の話なんです。
よく4歳の発達の目安で「自分の意思を言葉で表現できる」とありますが、個人差も大きいです。お子さんはそもそも自分の気持ちを言語化するが難しいもの。
たとえば、何色が好き? という一見単純な質問でも、たくさんの色を1つずつ思い浮かべながら、「自分はどれが好きか?」を考えて言語化する作業が必要な場合があります。お子さんによっては、ずいぶん時間が経ってから「先生、わたし、赤が好き」と教えてくれることもあります。子供の脳内でいろいろ考え、言語化され、アウトプットする、という工程に時間がかかっているわけです。
それともう一つ、今回ご相談いただいた文面には「イライラしてしまう感情を抑えて、なるべく優しく根気よく、思ってることを話してと伝える」とあるのですが、もしかすると、いつもと違う雰囲気がお子さんへ伝わっているのかもしれません。
自分が子供だった頃の記憶を思い出して欲しいのですが……お父さんやお母さんから「怒らないから正直に言ってごらん」と優しい声で言われたこと、ありませんか? しかし、すでに親が怒っていることが雰囲気から伝わってくるので、怖くて何も言えない(笑)。
言葉では、「あなたの思いを私はちゃんと受け止めますよ」と言っていても、雰囲気や表情・態度には別の感情が滲んでしまっていること、結構あるものです。なかなか子供が口を開いてくれないと、どうしていいかわからずイライラしますよね。
でも、もしかしたらその子は、ただ黙っているのではなく、話す準備をしている最中かもしれません。「いま、自分の言葉で一生懸命伝えようとしているのかもしれない」と、待つことも大切です。
もう1つは、もう4歳ですから、自分で自分の気持ちを切り替えようと頑張っている最中であることが考えられます。
機嫌が悪い時って、一番話したくない時じゃないですか? ちょっと自分の中で消化してから、落ち着いて話したい時って、大人もありますよね。
気分が下がるとか、モヤモヤすることって誰にでもあるものです。それを子供なりにどうしたら解消できるだろうかとか、その気持ちにどう向き合おうとか、もがいて頑張ろうとしているのかもしれません。だから“いまは”話せないのかもしれないですよね。
そういう時は、本人は心の中で頑張っているので、必要以上にどうして欲しい? ああして欲しい? とか無理に話させようとするよりは、ある程度「時」を置いてあげるというか、考える時間を取ってあげる、というか。
きっと今回のご相談をくださったかつおさんは、すごく優しい親御さんですから、もしかしたらお子さんを助けようとし過ぎている可能性も考えられます。そっとしておくことも、親としての優しさです。
それと、上手く子供を気持ちを引き出したい時、「どうしたい?」「どうして欲しい?」という質問のし方は、お子さんが1から100まで全部説明しないといけません。だから、5割から8割くらいは親が代弁してあげて「これかな? あれかな? これがやりたかったの? こうしてほしかったの?」と推測して言葉をつないであげるといいと思います。
時には子供からのアクションを待ち、そして時には言葉を引き出してあげること。この2つを大切にしながら、お子さんと向き合ってみてください。
てぃ先生
関東の保育園に勤める保育士。名前の読み方は「T」先生。Twitterフォロワー数は50万人、YouTubeチャンネル登録者は20万人を超える。著書である『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』(KKベストセラーズ)は15万部を超える大人気作に。近著の『てぃ先生の子育てで困ったら、これやってみ!』は自身初となる育児本であり、こちらもベストセラーとなっている。現在は保育士の専門性を生かし、子育ての楽しさや子供への向き合い方などを発信中!
取材・構成:脇谷美佳子
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