2022.07.11
2022.04.30
2023.05.11
私が食育をきちんと学んだのは、食育インストラクターの資格の勉強がきっかけでした。いざ学び始めてみたらものすごく面白くて、実生活はもちろん、料理家としての仕事にも役立つ気づきがいっぱいありました。
食材のことや旬のことだったり、ビタミンには油と合わせた方が吸収しやすいものがあって、例えば「人参は油で合わせた方が断然いいんだ!」といったような栄養面での観点が備わったり。自分の料理が変わるような、新たに生かせる知識やアイデアをたくさん学びました。
あとは、フードロスや、子供たちの肥満が増えているといった健康面などの社会課題から、核家族化など現代の家族の食事のあり方など。「ご飯」という切り口からさまざまなことに触れることで、「料理は美味しく作ればいいだけじゃない」という大事なことにも気づかされました。
料理家としてやっている以上、誰もが簡単に美味しく作れるレシピを提案して紹介するのは当たり前です。それだけでなく、こういう家庭もあるかもしれないなとか、せっかくなら社会問題を解決するような良い消費を選択できる方法を考えようとか、いろんな気持ちを込めながら料理と向き合えるようになった気がします。
食育で学んだことの中で、普段の食卓でも特に役立っているのが、「旬の意識」が高まったことです。夏になるとスイカやキュウリやトマト、冬になると白菜や大根がスーパーでも多く売られるようになって、食べる機会が増えますよね。
それは、その旬の食材の栄養価がもっとも高まっている時期であって、人間がその季節に必要とする栄養をしっかり含んでいるから。なんとなく取り入れがちだった旬のことをきちんと理解できたことで、食材を選びやすくなりました。
また、子供たちに「春になったからそら豆が出てきたね」なんて、野菜や魚などの季節感を伝えることが増えたのも、こうした学びがあったおかげです。
「自分が今何を食べているかというのを大事にできること」は大切なことです。食育を誰もが学ぶべき、とは思いませんが、「食べるものについて大事に考えたいけどどうすればいいのかわからない」というような場合は、学んでみることも1つのきっかけになるかもしれませんね。
「食べること」は日常の当たり前のことだからこそ、いろいろなところに学びの機会はあるように感じます。
実は日々の子供との会話の中にも、たくさんの学びがあります。子供が持つ疑問や純粋な反応に向き合いながら、「どうしてだろうね」と一緒に考えることで、もう一度学び直している感覚がすごくあります。
例えば、「なんで嫌いなものも食べないといけないの?」「これは皮も食べられるの?」「魚の血合いって、何?」「なんで冬にスイカは食べないの?」など。
子供たちからしたら大した意味はない、その時の思いつきの疑問かもしれません。ですが、こうした些細な疑問ほど、掘り下げてみると意外にも考えるべきテーマにぶち当たったりして面白いです。
子供たちの発想に向き合うことは、学びのテーマにあふれているなぁと感じながら、一緒に考えたり調べたりすることを楽しんでいます。
和田明日香
料理愛好家・平野レミの次男と結婚後、修業を重ね、食育インストラクターの資格を取得。各メディアでのオリジナルレシピ紹介、企業へのレシピ提供など、料理家としての活動のほか、各地での講演会、コラム執筆、CM出演など、幅広く活動する。
文:志村江
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