2022.12.12
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2023.02.09
わが子が日頃、保育園や幼稚園などでどのように過ごしているのか、その自然体の姿はなかなか見ることができない。同年齢のお友達がたくさんいて、おうちよりも工作の道具がそろった環境で、どんな表情で、どんな試行錯誤をしているのだろう。
自我が育ちつつある子供が何に興味を持ち、それをどう絵や造形に表現しているか、親としては目の前で確かめたいところだ。今しか見ることのできない、今しかできない創作を、旅先という場ででたっぷり観察してみるのはいかがだろうか。
昨年末、「星野リゾート リゾナーレ大阪(ハイアット リージェンシー 大阪内)」に、子供が思い切り表現活動を楽しむことで創造的思考を育むアトリエがオープンした。
星野リゾート リゾナーレ大阪とともに、アトリエを協働運営するのは、まちの研究所株式会社。同社は「こども・保育・教育領域」と「コミュニティづくり、まちづくり領域」を横断して、子供の学びに新しい環境を提供してきた。その知見とネットワークがここにも結実しようとしている。
リゾナーレ大阪の最上階28階という、大阪湾が一望できる絶景のロケーションに誕生した、約470㎡もの雄大なアトリエは日本最大級。カラフルなパレットを積み重ねた空間デザインは、大阪南港をテーマにしている。
アトリエ内は「興味」「探索」「表現」の3つのエリアで構成される。子供たちはそれぞれで自由な選択と探究を楽しめる。
まず、「興味エリア」は、自然・ヒト・技術が集結し、新たな価値を創造するエネルギーが渦巻く大阪南港から「あつまる」をテーマに、さまざまな素材と触れ合うことで、子供の興味を引き出す。
歯車やさまざまな形状の木材、きらきら光るアクリルなど、ギャラリーに展示されているそれらは、すべて地域でモノづくりに関わる人たちから提供されたもの。カラフルな糸が並ぶインスタレーションも大阪南港をイメージしたものだ。自由に糸を積み重ねたり、転がしたりしながら興味を目に見える形に紡いでいける。
そして「探索エリア」では、自分の気になるものを深堀りしていこう。「色彩」をテーマにしたゾーンには、ベンガラ染め※の布や四季によって色が変化する葉など、工業製品や自然物が装飾されている。それらに手を触れ、光に透かしてみたりすることで、さまざまな発見があるはずだ。
※べンガラは土から取れる成分(酸化鉄)で紅殻、弁柄とも呼ばれ、語源はインドのべンガル地方より伝来したことからそう呼ばれている(参考:www.kosyokunobi.com/benigara%20guide/benigara.html)
プロ用の絵具・筆といった「描く」にかかわる画材や道具と出会えるゾーンもある。例えば緑といっても、驚くほど多様な緑色があることをわが子は知るだろう。キャンバスは画用紙ばかりではない。窓や床に広がる大きな用紙などにも思い切り描くことができる。
粘土による造形は全身作業だ。足で踏んで型をつけてもいいし、体重をかけて延ばしてもいい。陶芸粘土としても使用されるものが4種類、たっぷり用意されている。
スクリーンに見立てた白い布や壁に、プロジェクターでマテリアル(素材)を投影できるゾーンもある。モノによって光を撥ね返したり吸収したり、透き通らせたり。それらを組み合わせて投影することでファンタジーなアートを体験できる。
「マテリアルライブラリー」は素材の宝庫だ。「探求の棚」に並ぶのは「魚・海」「虫・昆虫」「地学・石」「工芸」「工業」とテーマごとに関連付けられた素材や道具。身近なものが、視点を変えることで思わぬアートの材料になるだろう。
さらに「表現エリア」では、本格的に表現を追及する。芸術と教育の素養豊かな「アトリエリスタ」が子供と対話しながら創造力を引き出してくれたり、子供たちで共同制作に挑戦することもできる。
決められたものを作るのではなく、主体的な興味や問いを広げ、表現を深めていくことで、子供自身が自分の個性に気づくきっかけにもなるだろう。
アトリエのバックボーンは、イタリア発の乳幼児教育として注目されているレッジョ・エミリア・アプローチ。子供の個性を大切にすること、教えるのではなく子供自身の主体性を重んじることで創造性を引き出すアプローチだ。
これから芽吹きを迎えようという時季にいるわが子には、今のうちにたっぷりと栄養を与えてあげたい。現実の季節の巡りでも春はもう少しでやってくる。万物が彩り豊かに命躍らせる、そんな春の家族の旅だからこそ、芽吹こうとしている子供の可能性を育む計画を立てたいところだ。
わが子がまだ真っ白い人生というキャンバスをどう彩っていくか、見守ることができるのは親の特権だ。
〈施設概要〉
星野リゾート リゾナーレ大阪(ハイアット リージェンシー 大阪内)
・所在地:大阪府大阪市住之江区南港北1-13-11
・施設構成:客室(コンセプトルーム有り)、アトリエ
・客室数:64室
・開業日:2022年12月16日
・URL:risonare.com/osaka
※アトリエの利用は、同ホテルに滞在される方が対象
文:平井達也
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