2020.02.17
2020.03.11
2021.12.08
近年の温暖化やライフスタイルの変化により、子供が雪に触れる機会が減っているという。だが「雪による自然体験が子供に与える影響は大きい」と話すのは20数年にわたりスキー・スノーボードレジャー関連メディアに携わる竹川紀人さんだ。
「スノーリゾートでの活動が子供の様々な成長を促進するという考え方の『雪育』という言葉があります。雪に触れる、踏む、固めるなどの行動は触覚などの五感を刺激します。慣れない雪の上を歩くだけでも普段とは違う筋肉を使い、バランス能力も養われるなど身体面での成長が見られます。他にも、自律性の発達や親子の絆を深めるなど、心の部分でのうれしい効果も期待できますね」。
近年は、昔スノーボードなどで遊んだ世代が親となり、ファミリースキーヤーとしてゲレンデに戻ってくることも少なくないそうだ。
「実は、ファミリースキーを楽しめる期間は思っているよりも結構短いんです。小学校高学年にもなると習い事や部活などで休みを取れないことも多くなってきますから。未就学児を連れて行くことに抵抗があるかもしれませんが、早めのゲレンデデビューをおすすめしたいですね。
最近のゲレンデはスノボやスキーができない子供でも楽しめるアクティビティが充実して、テーマパークのような存在になっています。気軽な気持ちで楽しめますので、ぜひ雪の季節を楽しんで、さらに雪上での成長のチャンスにも期待して欲しいと思います」。
非日常な感覚の体験
雪に慣れていない子供にとっては、触ったり雪の上に倒れこんだりするだけでも十分新鮮で刺激的な体験になるだろう。また、一面が真っ白な雪という特殊な自然環境下では、視覚、におい、音、肌触り、寒さなど五感をフル回転することになり、感覚が磨かれる。
自律性の発達
一度スキー板を履いたら、常に目の前の課題を自分だけの力でクリアしなければいけないのがスキー滑走。課題に対して工夫する「自己決定力」と、うまくいくことで“自分はできる”と感じる「有能感」を得る機会が多く、この2つが子供の「自律性の発達」を促してくれる。
親子の絆が深まる
親子で同じ目線で楽しめるのが、スキー、スノーボードの特長。子供は親とのつながりを実感でき、共通の話題や思い出も生まれてより深い関係性が築ける。ゲレンデは子供だけでアクセスしづらいため、中学生や高校生と大きくなってからも家族旅行を楽しめるというのもスキーならではの利点。
バランス感覚の発達
スキーもスノーボードも、慣れない装備を身につけて足を固定しながら滑るスポーツ。コース上でも雪に凹凸があったり、固さが違ったり、斜度が違ったりと常に体幹を意識せざるを得ない環境なので、他のスポーツ以上にバランス感覚の習得には優れているといえる。
切磋琢磨する経験
多くのゲレンデで行われているスキー教室では、同じ年頃の子供と切磋琢磨して学ぶ体験ができる。不慣れな雪上での動きの習得は難しい面もあるが、友達に手を貸したりする姿が見られることも。単なる上達度の競争ではなく、仲間と助け合い尊重することが学べる。
竹川紀人さん
ファミリースキー&スノーボード情報メディア「ハピスノ」編集長。これまでに取材したスキー場数は国内を中心に200を超え、親子対象の雪上イベントも多数開催。
文:松永敦子
FQ Kids VOL.08(2021年秋号)より転載
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