2021.03.15
2024.07.01
2021.09.14
コロナ禍を機に、学校教育にもICT教材の導入が進んでいる。しかし、聴覚障害や日本語支援が必要な子供などへの配慮がなされたオンライン教材は、まだ社会的に不足している。そんな現状のなか、字幕を添えることで子供たちの学びをサポートしようという動きがある。
ろう・難聴児や、パパママが外国人であったり幼少期を海外で過ごし日本語の理解が難しい子供。発達障がいなど学習面に困りごとを抱え、字幕により学習効果が期待できる子供。彼らの学習を応援するオンライン教材『やさしい字幕』が、NPO法人eboardによって今年の夏に公開された。
eboardは無料で学べる「学習サイトeboard」を開発・運営することを通して、「学びをあきらめない社会」に向けて活動を展開している。「やさしい字幕」プロジェクトは、同団体が保有する映像教材に字幕を添えて、より多くの子供たちの学びを充実させようというもの。小学校高学年から中学校の教材が約1,600本公開されている。
様々な背景の子供たちを想定して、添える字幕にも配慮。表示量を調整したり、言葉や文章構造の簡素化を行うことで、学習のハードルが下がるよう編集されている。
また、日本語字幕を自動翻訳で外国語字幕にする子供たちも視野に入れている。外国語を母国語としている子供たちはそうした手段でより得意な言語に置き換えて確認することも必要になるためだ。
字幕の作成には、これまでのべ1,000名以上もの企業・団体ボランティアや個人ボランティアが協力。現在は、ろう学校や放課後等デイサービス、グローバルスクールなどの活用が見込まれる教育現場で実証事業が進んでいる。近々、効果的な活用モデルができあがるはずだ。
さらに8月末より、待望の小学校低学年の教材についても公開された。ICTをはじめとした技術の進展は子供の教育のありようも変えようとしている。しかし、そこに取り残される子供がいないか、常に目配りすることが必要だ。「誰1人取り残さない」ことを目指す営みが当たり前になってこそ、真に豊かな教育環境だと言えるだろう。
文:平井達也
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